去勢と避妊

去勢・避妊手術をしようかどうかと迷っているご家庭も多いと思います。当院は、繁殖する意志がなければ、不妊手術をされる事をおすすめいたします。

不妊方法

1.手術法
オスは手術で精巣を摘出します。去勢といいます。・・・ 犬・猫・うさぎ
メスは手術で子宮と卵巣を摘出します。避妊といいます。・・・ 犬・猫・うさぎ

2.避妊薬(発情抑制剤)注射による避妊です。・・・ 犬のメス

3.中絶の薬
薬による中絶も可能です。

 

1.手術法

① 手術によるメリット

去勢・避妊手術は、安全でほとんど心配の無いものです。15分~30分で終わります。健康面での効果もあり、手術をしていない犬・猫に比べると長生きする傾向にあります。

犬 オス(♂)
去勢によるメリット(効果)
健康面:前立腺疾病、精巣・肛門周辺の腫瘍、会陰ヘルニアの予防になる。
行動面:攻撃性の低下、性格が穏やかになりしつけがし易くなる。尿のマ-キングが減る。

猫 オス(♂)
去勢によるメリット(効果)
健康面:前立腺疾病、精巣腫瘍の予防になる。他の猫とのケンカが少なくなる=ケガ・交通故の減少、伝染病感染の軽減になる。
行動面:攻撃性の低下、性格が穏やかになりしつけがし易くなる。行動範囲の縮小。
尿のマ-キングが減る・・・部屋のあちこちの壁などに尿を吹き付ける行為=スプレ- が 80~90%の雄猫に効果がある。

犬 メス(♀)
避妊によるメリット(効果)
健康面:望まない妊娠を防ぐ。子宮蓄膿症・卵巣腫瘍・乳腺腫瘍 鼠径ヘルニア等の予防になる。
行動面:発情時の煩わしさが解消される=出血・臭い、雄犬が寄って来なくなる。

猫 メス(♀)
避妊によるメリット(効果)
健康面:望まない妊娠を防ぐ。子宮蓄膿症・卵巣腫瘍・乳腺腫瘍等の予防になる。
行動面:発情時の煩わしさが解消される=異常な鳴き声・家出 等)。
性格が良くなる事が多い。

② 手術によるデメリット
手術後、若干太りやすい傾向がある。⇒食事管理(療法食にて対応できる。)
麻酔使用によるリスク⇒麻酔という性格上、事故は0ではないが細心麻酔管理のもと、現時点では0です。

2.避妊薬(発情抑制剤)
『注射』・『インプラント剤』による避妊について

発情抑制を目的にした避妊薬「注射」と「インプラント剤」があります。避妊手術をしなくとも発情のコントロ-ルが可能です。
犬は「発情中」に排卵が起きます。「発情中」は、積極的に子孫を残そうと交尾し、妊娠しようとします。
「発情中」以外は交尾しませんし嫌がります。
つまり「発情」を起こさせなければ「避妊」になるわけです。ですから「避妊」するためには「発情」させない。「発情」させないと云う事は「排卵」させない・・・と云う事になります。避妊薬は「排卵」させないための薬なのです。
この薬はホルモン製剤です。このホルモンが働くと、排卵を起こすホルモンが抑えられます。薬を定期的に投与することによって、排卵は起こらなくなります。「注射」と「インプラント剤」があります。
「インプラント剤」 は犬の体に、このホルモン製剤が染み込んだシリコンを
埋め込んで、徐々に溶け出すようにしたもので、定期的に注射するのと同じ効果になります。

①メリット
避妊薬のメリットは、苦痛がまったく無いことです。
手術では、子宮の摘出をするので2度と妊娠はできません。しかし 避妊薬は、後で妊娠を望む可能性がある場合、薬をやめれば数ヶ月後には発情が戻り、再び交配・出産が出来ます。
②デメリット
注射する時期、再注射の場合の日程調節等の獣医師の指示に従う必要がある。
長期投与になると、子宮疾患を発症し易くなります。
当院では、他の病院から来た犬の子宮蓄膿症の原因が、皮下に埋め込まれた「インプラント剤」であった症例がありました。
副作用:乳腺肥大・腫瘍、偽妊娠、肥満、性格の変化、皮膚病の発生、食欲亢進・減退を起こすことがあります。効能的には、雌の犬だけの使用です。

3.中絶の薬
もし誤って子供が出来てしまったとき、これからも子供を作る気が無い場合は、かわいそうですが赤ちゃんごと子宮・卵巣を取り出す手術をします。
しかし、手術したくない・今回だけ子供はいらない・・・等の場合には、薬を使用します。もちろん赤ちゃんは死んでしまいます。

① メリット
時期が早い場合には、薬による中絶も可能です。
② デメリット
これもホルモン製剤ですので、副作用の危険があります。子宮炎、子宮蓄膿症、卵巣の病気、貧血などを起こすことがあります。