1.カメ
カメの陰茎脱
カメの陰茎(ペニス)脱です。
カメの後方からの写真です。甲羅の下に曲げている尾があります。右足と左足の間にもう1ツ・・・カメの前方からの写真ではありません。頭ではありません。
カメの雄は排泄時に陰茎を出す事が多いのですが、普通すぐに収納されます。
時に出たままの状態になる事があり、これを「陰茎脱」(Penile prolapse)と呼びます。
発見した時点で、すぐに戻してやるとよいのですが、脱出して時間が経つと、乾燥したり傷ついたりして元に戻らなくなり、手術が必要となります。
カメ(ハ虫類)の陰茎は交尾の為の器官であり、哺乳類などと違い内部に尿道はありません。
その為切断しても、その後の排泄に問題は生じません。
手術は局所麻酔下で行います。
2.針ネズミ
針ネズミの腫瘍
針ネズミの右肩後方に腫れ物ができたとの事で来院。
全身麻酔で腫瘍を摘出しました。
3.ウサギ
・膀胱結石
ウサギの膀胱結石は比較的よくみられます。その他に、腎結石や尿管結石、尿道結石もあります。ウサギにみられる尿石の大半はカルシウム結石です。これはうさぎの場合、摂取されたカルシウムのうちのほとんどが尿中に排泄されるためです。
飲水量が少なかったり、食事中のカルシウム量が多かったり、膀胱炎などがあると、より発生しやすくなります。 症状としては、食欲が落ち元気がなくなります。痛みによってうずくまって動かなくなったり、歯ぎしりをすることもあります。血尿を見るのはまだ良いほうで、重症になると排尿困難になり、腎不全を起こし命にかかわることもあります。
触診や、尿検査、X線検査、超音波検査により結石と結石のある場所を確認し、治療します。小さいものであれば、内科治療により排出されますが、排尿困難や著しい痛みなどにより命に関わることがある場合には、手術により摘出することになります。
予防・再発防止としては、一番に食事管理があげられます。食事中のカルシウム含量を制限することが必要です。
乾草であれば、アルファルファなどは、カルシウム含量が多いので、チモシーなどのイネ科のものにしましょう。また、ペレットフードもカルシウム含量が少ないものを選びましょう。
・ウサギの歯(不正咬合)
ウサギが餌を食べる時、顎を側方に動かし、すりつぶしながら嚥下します。その際、上下の前歯(切歯)と奥歯(臼歯)が同時に磨耗しあい、適切な長さを維持します。
しかし、外傷、食事内容の偏り、遺伝的素因などにより適切な噛みあわせが出来なくなると、ウサギの歯は常に伸び続けているため(1週間で2.4mm) 障害がでます。
伸び過ぎた歯が舌や頬にあたり、傷や潰瘍ができてしまうのです。このためウサギは、痛み・ストレス・食欲不振になります。
さらにすすむと、胃腸の運動低下・毛球症・ガスの発生による鼓脹症へと悪化することもあります。前歯(切歯)の不正咬合は、飼い主さんが簡単に検査できますが 【上の写真】、 奥歯(臼歯)は全身麻酔をかけての検査・処置となります。
ウサギが、口を気にして歯ぎしりをする、ヨダレが多くる、口の周りの毛・皮膚が持続的に濡れる、餌の前まで行くが食べない、等の症状があれば奥歯(臼歯)の異常を疑ってください【下の写真=臼歯の不正咬合】。
・毛球症
猫の代表的な病気の1ッに毛球症がありますが、この毛球症はウサギにも認められます。
ただし猫より危険となることが多いのです。
それは猫の場合は、自ら毛球を吐き出すことができますが、ウサギは吐き出すことが出来ない動物なので、命を落とすことにもなる病気のひとつとなっています。
【原因】
猫と同様に、うさぎも毛づくろいをします。
その時になめて抜けた毛が胃に入ってたまります。
特に長毛種の場合、体内に入る毛の量が多くなるので要注意です。本来なら、この毛は胃の中にたまることなく、少しずつ便の中に混じって体外に排出されます。
しかし、ストレス等によりなめる回数が増えて、胃の中に入る毛の量が多くなったり、繊維質の少ない食事を与えることによって、胃腸の動きが悪くなって、毛の胃からの排出が悪くなること等によって,胃の中に毛球としてたまってきてしまいます。
【症状】
毛球ができると食欲が減り、元気がなくなってきます。
治療せずにこの状態が長く続くと食欲の低下が続き、栄養失調で亡くなってしまうこともあります。また、胃の中にたまった毛球が、胃から腸につながる幽門という胃の出口の場所に詰まってしまうこともあります。
そうなると、胃の出口を塞ぐことになり、胃の中にガスが充満したり脱水症状やショック症状を起こす事もあります。
【治療】
薬を与えて胃を軽くマッサージし、胃の中の毛球をほぐし、他の胃内容物と一緒に排便させるようにします。毛球の量によりますが、1週間から10日間継続して治療することが必要です。
食餌として、チモシーなどの干し草やワラをできるだけ与えるように心がけます。
内科的な処置をしても効果が出てこない場合には、手術で胃の中から毛球を取り出す必要があります。
また、毛球が腸内でつまると、腸内にガスが溜まります。
【予防】
繊維質の多い食事を与える。
運動をさせる。
毎日、クシで抜けた毛を取り除く。
ストレス、不安を与えないこと 等です。
・東洋眼虫
何かウサギの眼の中にいる との事で来院。
全身麻酔で 『東洋眼虫』 を取り出しました。
犬や猫の結膜嚢や瞬膜下に寄生する、半透明の虫です。まれにヒト、サル、ウサギなどに寄生します。
ショウジョウバエと言う小さなハエが中間宿主です。このハエが涙を吸うときに、『東洋眼虫』の子虫卵を摂取し、ハエの体内で感染子虫に発育します。再びハエが動物の涙を吸うときに、感染子虫はハエの口器より飛び出し、感染します。
眼科用の点眼麻酔薬を滴下し、眼虫をマヒさせて動けなくし、検査、取り出しをします。
当院の例では、年老いた動物・病気等で弱っている動物、そしてヒトの良いのんびりした性格のペット動物に、多いなと思っています。