震災に驚き「家出」増える 野良猫救え

 ■千代田区、仙台市に救いの手

 震災でパニックになり、家出した飼い猫の間で生まれた野良の子猫が仙台市で急増、市から支援依頼を受けた東京都千代田区が子猫を引き受け、ボランティアと保護や飼い主探しに当たっている。年内に50匹程度の子猫が東京近辺の住民に引き取られる見通しで、自治体協力が小さな命を救っている。

仙台市では震災後、迷子になって保護される猫などの動物が例年の倍以上のペースで増加、市動物管理センターは飼い主探しに追われている。しかし家出した猫の子猫たちの健康管理や、引き取り手探しまでは「手が回らない」のが実情だ。

 そのため奥山恵美子仙台市長が、猫の保護対策で知られる千代田区の石川雅己区長に支援を依頼。仙台市が簡単な健康診断と予防注射をした子猫を千代田区の負担で東京まで移送、必要に応じて健康をチェックすることになった。子猫はボランティアが預かっている間にインターネットなどを通じて飼い主を募集、譲渡する。

子猫の第1陣15匹は7月21日、仙台から東京に到着、ほとんどの飼い主が決まった。石川区長は「このような大震災時に動物の保護を行うことも大事だと思う。区内のボランティア団体と協力して、できることを支援したい」と話す。

 野良猫に不妊手術をして地域猫として見守る事業に千代田区とともに取り組み、今回も協力しているボランティア団体「ちよだニャンとなる会」の栗原環代表は「自治体が臨機応変に動くことが大切。一匹でも多く助けてやりたい」と訴えている。

2011.8.20 産経新聞